成年後見制度(せいねんこうけんせいど)は大(おお)きく分(わ)けると、法定後見制度(ほうていこうけんせいど)と任意後見制度(にんいこうけんせいど)の2つがあります。

法定後見制度(ほうていこうけんせいど)

法定後見制度(ほうていこうけんせいど)は「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つに分(わ)かれており、判断能力(はんだんのうりょく)の程度(ていど)など本人(ほんにん)の事情(じじょう)に応(おう)じて制度(せいど)を選(えら)べるようになっていて、家庭裁判所(かていさいばんしょ)によって選(えら)ばれた成年後見人(せいねんこうけんにん)(成年後見人(せいねんこうけんにん)・保佐人(ほさにん)・補助人(ほじょにん))が、本人(ほんにん)の利益(りえき)を考(かんがえ)えながら、本人(ほんにん)を代理(だいり)して契約(けいやく)などの法律行為(ほうりつこうい)をしたり、本人(ほんにん)が自分(じぶん)で法律行為(ほうりつこうい)をするときに同意(どうい)を与(あた)えたり、本人(ほんにん)が同意(どうい)を得(え)ないでした不利益(ふりえき)な法律行為(ほうりつこうい)を後(あと)から取(と)り消(け)したりすることによって、本人(ほんにん)を保護(ほご)・支援(しえん)します。

たとえば、後見人(こうけんにん)がみなさん(被後見人(ひこうけんにん))の代(か)わりに、大(おお)きなお買(か)い物(もの)の契約(けいやく)や介護施設(かいごしせつ)を利用(りよう)する契約(けいやく)をしたり、同意(どうい)したりします。たとえば、ヘルパーさんに来(き)てもらう契約(けいやく)や、土地(とち)を売(う)りたいとき契約(けいやく)への同意(どうい)などです。

また、みなさんが誰(だれ)かにだまされたり、間違(まちが)えたりして不利(ふり)になる契約(けいやく)をしてしまったときは、その契約(けいやく)を取り消す(とりけす)ことができます。たとえば、たとえば訪問(ほうもん)セールスで30万円(まんえん)の浄水器(じょうすいき)を買(か)ってしまったときは、その契約(けいやく)をなかったことにしてもらうことができます。

負債(ふさい)の相続放棄(そうぞくほうき)

本人(ほんにん)は5年程前(ねんほどまえ)から物忘(ものわす)れがひどくなり、勤務先(きんむさき)の直属(ちょくぞく)の部下(ぶか)を見(み)ても誰(だれ)かわからなくなるなど、次第(しだい)に社会生活(しゃかいせいかつ)を送(おく)ることができなくなりました。日常生活(にちじょうせいかつ)においても、家族(かぞく)の判別(はんべつ)がつかなくなり、その症状(しょうじょう)は重(おも)くなる一方(いっぽう)で回復(かいふく)の見込(みこ)みはなく、2年前(ねんまえ)から入院(にゅういん)しています。

ある日(ひ)、本人(ほんにん)の弟(おとうと)が突然事故死(とつぜんじこし)し、本人(ほんにん)が弟(おとうと)の財産(ざいさん)を相続(そうぞく)することになりました。弟(おとうと)には負債(ふさい)しか残(のこ)されておらず、困(こま)った本人(ほんにん)の妻(つま)が相続放棄(そうぞくほうき)のために、後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)を申(もう)し立(た)てました。

家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理(しんり)を経(へ)て、本人(ほんにん)について後見(こうけん)が開始(かいし)され、夫(おっと)の財産管理(ざいさんかんり)や身上監護(しんじょうかんご)をこれまで事実上(じじつじょう)担(にな)ってきた妻(つま)が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任(せんにん)され、妻(つま)は相続放棄(そうぞくほうき)の手続(てつづき)をしました。

自宅土地建物(じたくとちたてもの)の売却(ばいきゃく)

本人(ほんにん)は1年前(ねんまえ)に夫(おっと)を亡(な)くしてから一人暮(ひとりぐ)らしをしていました。以前(いぜん)から物忘(ものわす)れが見(み)られましたが、最近症状(さいきんしょうじょう)が進(すす)み、買物(かいもの)の際(さい)に1万円札(まんえんさつ)を出(だ)したか5千円札(せんえんさつ)を出(だ)したか、分(わ)からなくなることが多(おお)くなり、日常生活(にちじょうせいかつ)に支障(ししょう)が出(で)てきたため、長男家族(ちょうなんかぞく)と同居(どうきょ)することになりました。

隣県(りんけん)に住(す)む長男(ちょうなん)は、本人(ほんにん)が住(す)んでいた自宅(じたく)が老朽化(ろうきゅうか)しているため、この際自宅(さいじたく)の土地(とち)、建物(たてもの)を売(う)りたいと考(かんが)えて、保佐開始(ほさかいし)の審判(しんぱん)の申立(もうした)てをし、併(あわ)せて土地(とち)、建物(たてもの)を売却(ばいきゃく)することについて代理権付与(だいりけんふよ)の審判(しんぱん)の申立(もうした)てをしました。

家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理(しんり)を経(へ)て、本人(ほんにん)について保佐(ほさ)が開始(かいし)され、長男(ちょうなん)が保佐人(ほさにん)に選任(せんにん)されました。長男(ちょうなん)は、家庭裁判所(かていさいばんしょ)から居住用不動産(きょじゅうようふどうさん)の処分(しょぶん)についての許可(きょか)の審判(しんぱん)を受(う)け、本人(ほんにん)の自宅(じたく)を売却(ばいきゃく)する手続(てつづき)を進(すす)めました。

10万円以上(まんえんいじょう)の商品購入(しょうひんこうにゅう)の取(と)り消(け)し

本人(ほんにん)は、最近米(さいきんこめ)を研(と)がずに炊(た)いてしまうなど、家事(かじ)の失敗(しっぱい)がみられるようになり、また、長男(ちょうなん)が日中仕事(にっちゅうしごと)で留守(るす)の間(あいだ)に、訪問販売員(ほうもんはんばいいん)から必要(ひつよう)のない高額(こうがく)の呉服(ごふく)を何枚(なんまい)も購入(こうにゅう)してしまいました。困(こま)った長男(ちょうなん)が家庭裁判所(かていさいばんしょ)に補助開始(ほじょかいし)の審判(しんぱん)の申立(もうした)てをし、併(あわ)せて本人(ほんにん)が10万円以上(まんえんいじょう)の商品(しょうひん)を購入(こうにゅう)することについて同意権付与(どういけんふよ)の審判(しんぱん)の申立(もうした)てをしました。

家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理(しんり)を経(へ)て、本人(ほんにん)について補助(ほじょ)が開始(かいし)され、長男(ちょうなん)が補助人(ほじょにん)に選任(せんにん)されて同意権(どういけん)が与(あた)えられました。その結果(けっか)、本人(ほんにん)が長男(ちょうなん)に断(ことわ)りなく10万円以上(まんえんいじょう)の商品(しょうひん)を購入(こうにゅう)してしまった場合(ばあい)には、長男(ちょうなん)がその契約(けいやく)を取(と)り消(け)すことができるようになりました。

任意後見制度(にんいこうけんせいど)

任意後見制度(にんいこうけんせいど)は、本人(ほんにん)が十分(じゅうぶん)な判断能力(はんだんのうりょく)があるうちに、将来(しょうらい)、判断能力(はんだんのうりょく)が不十分(ふじゅうぶん)な状態(じょうたい)になった場合(ばあい)に備(そな)えて、あらかじめ自(みずか)らが選(えら)んだ代理人(だいりにん)(任意後見人(にんいこうけんにん))に、自分(じぶん)の生活(せいかつ)、療養看護(りょうようかんご)や財産管理(ざいさんかんり)に関(かん)する事務(じむ)について代理権(だいりけん)を与(あた)える契約(けいやく)(任意後見契約(にんいこうけんけいやく))を公証人(こうしょうにん)の作成(さくせい)する公正証書(こうせいしょうしょ)で結(むす)んでおくというものです。

そうすることで、本人(ほんにん)の判断能力(はんだんのうりょく)が低下(ていか)した後(あと)に,任意後見人(にんいこうけんにん)が、任意後見契約(にんいこうけんけいやく)で決(き)めた事務(じむ)について、家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任(せんにん)する「任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)」の監督(かんとく)のもと本人(ほんにん)を代理(だいり)して契約(けいやく)などをすることによって、本人(ほんにん)の意思(いし)にしたがった適切(てきせつ)な保護(ほご)・支援(しえん)をすることが可能(かのう)になります。

不測(ふそく)の事態(じたい)に備(そな)えて娘(むすめ)を後見人(こうけんにん)に

本人(ほんにん)は、長年(ながねん)にわたって自己(じこ)の所有(しょゆう)するアパートの管理(かんり)をしていましたが、判断能力(はんだんのうりょく)が低下(ていか)した場合(ばあい)に備(そな)えて、長女(ちょうじょ)との間(あいだ)で任意後見契約(にんいこうけんけいやく)を結(むす)びました。その数(すう)か(げつご)、本人(ほんにん)は脳梗塞(のうこうそく)で倒(たお)れ左半身(ひだりはんしん)が麻痺(まひ)するとともに、認知症(にんちしょう)の症状(しょうじょう)が現(あらわ)れアパートを所有(しょゆう)していることさえ忘(わす)れてしまったため、任意後見契約(にんいこうけんけいやく)の相手方(あいてがた)である長女(ちょうじょ)が任意後見監督人選任(にんいこうけんかんとくにんせんにん)の審判(しんぱん)の申(もう)し立(た)てをしました。

家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理(しんり)を経(へ)て、弁護士(べんごし)が任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)に選任(せんにん)されました。その結果(けっか)、長女(ちょうじょ)が任意後見人(にんいこうけんにん)として、アパート管理(かんり)を含(ふく)む本人(ほんにん)の財産管理(ざいさんかんり)、身上監護(しんじょうかんご)に関(かん)する事務(じむ)を行(おこない)い、これらの事務(じむ)が適正(てきせい)に行(おこなわ)われているかどうかを任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)が定期的(ていきてき)に監督(かんとく)するようになりました。

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