障害年金を請求したいのに、医師が診断書を書いてくれないというケースは意外と少なくありません。医師にも色んな方がいますので、診断書を書かない理由も医者それぞれです。

あなたの状態、病名では障害年金を受給できるほどの状態ではありません。

普段の診療で忙しいんだ。面倒なことを言うのはよしてくれ!医師の働きすぎ問題を御存じないのでしょうか。

そんなに症状がひどいわけではないのに障害年金なんて受給することないでしょう。
長年に亘って多くの薬を処方をしておきながら、そのように言い放つ医師を何度も耳にしてきました。
医師が診断書を書いてくれない場合は、遡及請求を諦め事後重症に切り替えて請求するか、なんとか医師に診断書を書いてもらえるように話をするほかありません。
医師が認定日診断書を作成してくれないときの対応
遡及を諦める
本来、遡求請求をするには障害認定日の診断書が1枚と現在の状態の診断書が1枚の計2枚の診断書が必要ですが、一旦、障害認定日の診断書は諦めた上で現在の診断書のみ作成してもらった上で事後重症の請求を行うという方法です。
認定日(遡求)請求は、事後重症で認定を受けた後であっても請求することができます。
したがって、一旦事後重症で認定を受けておき、経済的な不安を取り除いた後に、障害認定日時点の診断書を書いてもらうという方法になります。
医師が障害認定日の診断書を書いてくれないからと言って、事後重症請求まで出来ないというわけではありませんのでご安心ください。
障害状態を客観的に評価できる資料の提出
障害認定日から3か月以内の現症日の診断書が作成できないケースであってもすぐに諦めるのは早計です。傷病の特質による事情や障害認定日時点の本人の特別な状況によっては、障害認定日請求が認められる場合があります。
すなわち、その資料によって障害の状態を示す当時の障害の状態と本来の障害認定日時点の障害の状態が同程度であったであろうと客観的に評価された場合、障害認定日請求が認められる場合があるということです。

精神障害だと難しいですが、肢体の障害などの場合は客観的に障害状態を確認することが可能です。
認定日前後の診断書を作成
認定日から3か月以内の診断書は書いてもらえないが、それ以外の期間の診断書なら書いてもらえそうな場合、内容によっては障害状態を客観的に評価できる資料として取り扱われる場合があります。過去の事例では障害認定日から1年近く経過した診断書が採用されたケースもあります。出来る限り、障害認定日の障害状態を客観的に評価できるよう複数の診断書を書いてもらう覚悟は必要かもしれません。
別の医療機関に診断書を作成してもらう
当事務所がこれまで行った請求事例の中には、別の医療機関に書いてもらった診断書が認められたケースもあります。ただ、医師法には「直接診察をしていない医師は診断書を作成してはならない」旨の規定がおかれていますので、このような場合は、カルテをもとに書ける範囲で診断書を書いてもらいましょう。ただし、その場合、あくまで医師の協力を得るというスタンスで話をする必要があります。
転院する
障害認定日どころか現在の診断書も医師が書かないと言っている場合は他の対応を考えなくてはなりません。
他の対応とは「転院」も視野に入れるということです。
長年通院してきたが一向に状態が良くならない。医師からの医療的な説明もなくただ薬を処方されるだけ。診断書を書いてくれない理由もろくに説明もしないばかりか、恫喝されたというような場合は転院したほうがいいかもしれません。
転院後、新しい医師に診断書を書いてもらい、事後重症で請求を行うという方法もありますので、もう「話にならない!」という場合は請求を諦めるのではなく転院を検討してみてください。
内容証明・カルテ開示請求
正当な理由もなく、医師が診断書を書かないと言っているような場合は、ひとまず内容証明で改めて医師に診断書発行を依頼すると同時にカルテの開示請求を行うというのも一つの方法です。
障害年金は今後数年間にわたってその支給を受けられるかもしれない給付です。
にもかかわらず、専断的な理由によって書かないというのは医師としてふさわしい行動とは言えません。
内容証明には、法的拘束力(強制力)がありませんが、こちらが本気であることを医師に伝えるには十分な方法ではないかと思います。
医師は、医師法第19条2項の法規定により、患者から診断書交付の請求があった場合には、これを記載・発行する義務があります。診断書は診察にあたった医師のみが発行でき、官公署に対する各種の書類の添付書類として、また各種保険金の支払い請求等の証明書類として社会的に必要性が強いので、その発行を医師の恣意ないし専断に委すことは許されていません。この規定はあくまで「診察にあたって医師」についての規定です。
当時の担当医がいない場合
診断書は診断をした医師が作成することとされています。したがって、当時の医師がいないことを理由に診断書は書けませんと言われることがありますが、このような場合であっても、カルテをもとに書ける範囲で診断書を書いてもらいましょう。ただし、その場合、あくまで医師の協力を得るというスタンスで話をする必要があります。
「精神科じゃないから書けない」と言われたような場合
診断書は原則として、精神保健指定医または精神科を標榜する医師に記入していただくことになりますが、
小児科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、老年科などを専門とする医師が主治医となっている場合、これらの科の医師であっても、精神・神経障害の診断または治療に従事している医師であれば記入することが可能です。