最終更新日: 2014年7月16日

初診日の証明はどのように行うか?

初診日の証明方法

精神障害により障害年金を請求するときには、その障害の原因である傷病の初診日がいつかを特定する事は、意外に難しいものです。前駆症状により別の医療機関で初診があったり、因果関係のある別傷病による初診があったりするからです。また、途中で「社会的治癒」があると、中断前後のはじめて受診した日のどちらを初診とするか迷う事もあります。障害の原因である傷病が何であり、その初診日がいつかを決定する事が「初診日の特定」です。

これに対して、初診日の証明は、「初診日の特定」がされた後にその初診日をどういう書類に基づいて立証するのかという事です。「初診日の特定」が原因となる傷病の特定に関わるのに対し、初診日の証明は初診の事実を証明する証拠書類にかかわります。

医療機関における診療録に基づく医師の証明の事を「医証」といいます。初診日を証明する書類は、原則としてこの医証となります。

医証というのは普段はあまり聞き慣れない言葉です。医証そのものについての法律的な定義はありません。医証というのは、特定の書類の種類や様式を意味する用語ではありません。交通事故等の後遺障害の程度を証明するためであれば、診断書や検査結果、MRIなどの画像も医師の証明があれば医証といえます。初診日の特定には、初診日を証明した医証が必要です。

「医証」とは?

診断書作成医療機関が初診時の医療機関の場合は、その医療機関における初診日が書かれた書類が医証となります。転医後の場合は、診断書作成医療機関は初診時の医療機関と異なります。このときは、障害の原因となった傷病に監視、はじめて医師の診断を受けた日を証明した受診状況等証明書が初診日の医証となります。

受診状況等証明書は、国民年金法施行規則などに定められた所定の用紙ではなく、便宜的に使用されているものです。診断書作成医療機関の前に他の医療機関で受診したことがある場合に、初診日を確認するために必要とされる書類で、一般的には「初診証明」または「初診日証明」とも呼ばれています。基本的には受診状況等証明書を提出するのが原則です。

診療録に基づかず記憶による場合は、医師の証明であっても医証とは認められません。また、受診状況等証明書に書かれた初診年月日が、本人の申し立てによる場合も医証とは認められません。再確認しておくと、診断書や受診状況等証明書そのものが初診日を証明する医証ではなく、診療録に基づいて作成された診断書や受診状況等証明書のみが初診日を証明する医証となります。

診断書の表面の丈夫には、指名・生年月日・住所などの基本情報部分を記載する場所があります。この基本情報部分の①欄は「障害の原因となった傷病名」を書くようになっており、③欄の項目タイトルは、「①のため初めて医師の診療を受けた日」です。そして項目タイトルの次に、年月日を記載する欄があり、その後ろには「診療録で確認」または「本人の申し立て」のどちらかに○で囲むようになっています。「本人の申し立て」を○で囲んだ場合は、それを聴取した年月日を記入するよう求められています。

基本的な考え方は、③欄に診療録で確認のところが○で囲まれているならば、その診断書が初診時の医証として認めるということです。

初診日を証明する場合のポイント

障害年金の請求手続きを進めるにあたり、特に重要な点は以下です。

    1. 初診日がいつかの立証義務は請求者にあります。(※診断書によって初診日が明確にされない場合には、当該障害の原因となった傷病をはじめて診断した医師の初診日を証明する書類の添付が必要となります。初診日を確認することができる証拠書類が提出されない限りは、原則として障害年金の裁定はされません。
    2. 客観証拠主義が採用されており、本人の申し立てのみでは受付けられません。
    3. 初診日を証明する医証をとるのが基本です。家族や同僚の証言など医証以外のものは、一部の例外(20歳前障害)を除いて初診日の証明の資料として採用されません。
    4. 診断書や受診状況等証明書が初診日を証明する医証として扱われるかどうかは、診断書や受診状況等証明書がなどが「診療録で確認」となっているかをみます。診断書に書かれた「はじめて医師の診療を受けた日」や受診状況等証明書等に書かれた初診年月日が、「診療録で確認」となっていれば、作為的でなく信憑性が高い者として一般的に扱われます。「本人の申し立て」に基づいて書かれた「初めて医師の診療を受けた日」は、申し立ての日がいつかが重要になります。
    5. 通常、障害年金の申請手続をするために、診断書作成時に「本人の申し立て」に基づいて書かれた「初めて医師の診療を受けた日」は、申し立ての日がいつかが重要になります。通常、障害年金の申請手続をするために、診断書作成時に「本人の申し立て」に基づいて書かれたはじめて医師の診療を受けた日は、信憑性が低いとみなされます。その場合は、他に初診日の証明に役立つようなもの、例えば、診察券などを添付したり、病歴等申立書などに初診時の経過を詳細に記載する等の工夫が必要です。

初診日の証明は、年金請求手続において”はじめのゴール”といっても過言ではありません。証明がとれないからといって、すぐにあきらめずに、初診日の証明に間接的に役立つ資料等がないかを十分に検討するようにしてください。

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