カルテがない!そんなときはどうしたら?
カルテがないときの対応策
初めて病院を受診したのが20歳より前にあります。初診日を証明してもらわなければならないと思い、病院に受診状況等証明書あるいは診断書を書いてもらえるか聞いてみたところ、『昔のカルテを破棄したため受診状況等証明書も診断書も書けない』と言われてしまいました。
私のようなケースでは障害年金を請求する事はできないのでしょうか?
初診日を間接的に証明できそうな参考資料の収集
当時の病院にカルテがなく、初診日を証明できないような場合、当時の診察券やお薬手帳、受診時のレシートや、生徒指導録といった参考資料を提出することにより間接的に初診日を証明してもらう方法があります。
ただし、公的な証明として認められているのは「公的な証明として認められた医証すなわちカルテに基づいて書かれた受診状況等証明書」のみですので、これらを提出すれば必ず認められるわけではありませんのでご注意ください。
すなわち、請求自体は可能だが、認定されるかどうかは別ということです。
初診日が不明として請求を却下されたケース(実例)
Mさんは、18年前に会社の健康診断で糖尿病の疑いと診断され、それ以降、糖尿病治療を行ってきました。その後、糖尿病網膜症を発症し、障害年金を請求しようとしましたが、初診の病院にカルテがなく、初診日不明として請求書類が返送されてきているとのことで相談を受けました。
初診の病院にはカルテはないため、受診状況等証明書は提出できません。(転院後の病院の受診状況等証明書は必要)したがって、直接的な証拠資料とはならないものの、参考資料を提出することで初診日を認めさせようとした。
提出した参考資料は、転院後の病院のカルテ、当時の健康診断の記録である。
これらの提出により主張していた初診日が認められ、障害年金の受給に結びついた。
受診状況等証明書は転院後の病院に書いてもらう必要がある
初診の病院にカルテがない等の理由により、初診日を証明してもらえない場合、当該初診病院では受診状況等証明書は書いてもらう事はできませんが、その後に通った病院に受診状況等証明書を書いてもらう必要があります。
ただ、転院後の病院に書いてもらった受診状況等証明書は初診日の証明書ではありませんので、転院後の初診日が初診日として認められるわけではありません。
受診状況等証明書を書いてもらう事ができなかった場合は、「受診状況等証明書を添付できない理由書」の提出が必要です。
受診状況等証明書を添付できない理由書には以下のいずれかを添付する必要があります。
- 身体障害者手帳もしくは身体障害者手帳作成時の診断書
- 交通事故証明書
- 労災の事故証明書
- 事業所の健康診断の記録
- インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
- 紹介状のコピーなど
- 初診日が20歳前の場合は、請求者または請求者と生計を同じくする3親族以外の第三者(施設庁、病院長、事業主、隣人等)の証明(年管管発1216第3号)
20歳前障害による請求の場合
当時のカルテが残っていない場合がありますので初診日を証明するのが困難な場合があります。
基本的にカルテの保存期間は5年と決まっているため、これを過ぎるとカルテを破棄する医療機関もあります。こういう場合、20歳前による障害年金を請求しようとしても当時のカルテが用意できず、20歳時認定日請求ができない事が多々ありました。
しかしながら、初診日の証明については平成23年12月16日の厚生労働省告示により、2名以上の3親等以内の親族以外の者の証明があれば、初診の証明として認められるようになりました。
